ブックタイトル2014
- ページ
- 5/12
このページは 2014 の電子ブックに掲載されている5ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
このページは 2014 の電子ブックに掲載されている5ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
2014
1.調査の目的昨年6月のSWVOB総会にて「二居の山小屋」の将来について議論がありました。結論は、必要な修繕を行いながら維持して使用してゆくことになりました。選択肢には、第三者に無償譲渡して手放す、あるいは解体してしまうという案も出ましたが、いずれも譲渡先を見つけることが難しいのと、解体にも高額の費用が掛かると思われることから手を入れながら継続して使用することを選択しました。「二居の山小屋」は1970年秋から敷地造成が始まり、1975年に完成したので、今年で39歳になります。23年ほど前には、建築当初は建物内部にあったトイレが、便槽底部の沈下よる地下水の侵入によって使用できなくなったため、建物外部に仮設用トイレを設置して、その周りを仮設用鉄板で囲うなどの工事を行いました。この時の費用はOBからの寄付金でまかなっています。2007年には、その前年、前々年の2年にわたる大雪のために垂れ下がってしまったコンクリート製のテラスの補修と屋根からの落雪によって傾いてしまったトイレの直しを行いました。この時もかかった費用はOBからの寄付金でまかなうとともに、トイレの直しはOB有志のボランティア作業によって行いました。建設後すぐに現部を中心として、毎年山小屋のワーク合宿が行われてきました。屋根、外壁の塗装、水源の清掃、室内の清掃などできる範囲でメンテナンスを行ってきたおかげで、これまでは建物にとって致命的となる損傷は見られませんでした。今回の調査は、2013年11月9日、一級建築士の大類裕幸OBとコンクリートの専門家で技術士の東克明OBを中心に、羽持彰前幹事長、花田知大山小屋委員長、花田麗良幹事、林正高山恋編集長、高橋修OBのメンバーで行いました。調査項目は、コンクリート基礎の構造に係わる部分と雨水の侵入を防止する屋根及び外壁部分の調査を重点に行いました。本報告書は、山小屋の今後の耐用年数を判断することと山小屋改修にかかる費用の算出を主な目的とするものです。2.建物の概要山小屋は、当初の設計では半地下室で計画していたコンクリート高基礎の上に、張間7.272m、桁行9.999m(幅五間半、奥行四間)の木造二階建て、切妻屋根、カラー鉄板瓦棒葺き、妻入りで南面して建つ。南側には現在は無くなってしまった外階段で出入りできる幅二間、奥行一間の玄関の下屋がかかる。南側、東側にはコンクリート製テラスが回っている。山小屋の前に広がる敷地は、ワーク合宿の時に草を刈る程度だが、シラカバの大きな木々が茂り、静かな趣を演出している。現在は一階となっているコンクリート打放しの壁とテラス二居の山小屋現況調査報告書大類裕幸(昭和49年卒部)を支えるコンクリート製の柱の上に木造の二階建て建物が乗っているので、建築基準法上では三階建ての建物と言える。外壁は角型に凹凸のあるトタン板を張り、一部板を横張している。塗り替えのたびに色を変えているので当初の色はなんであったか定かではないが、現在は青色に塗装されている。外周部の室内の壁はベニヤ張で断熱材は無い。屋根は南側(道路側)から見ると、棟(屋根の一番高い部分)が東西の東側三分の一ぐらいの位置にあり、東西に低くなっている。西側は四寸勾配、東側は約五寸五分勾配、東西で勾配が異なる。屋根の雪を自然に滑り落す方式の落雪式屋根になっている。3.一階(コンクリート基礎)について当初の設計では、斜面を切り開いて基礎を作るように計画していたようで、北側は埋戻しをする予定であった可能性もある。結果的には外壁全周が外に現れているので、コンクリートの状態をすべて確認することができた。調査は東OBを中心に行い、東西南北のすべての面について、クラックの位置と幅と深さの確認(メジャーによる採寸)。水の侵入の状況の確認(目視)。劣化の状況(テストハンマーによる打音検査)を確認した。調査の結果、ヘアークラックは数多くみられるが、コンクリート内部の鉄筋を急激に酸化させて錆を進行させるほどではないだろうとの判断をした。しかし今後のクラック等の進行状況を定期的に確認する必要はある。Saitama University Wandervogel ClubSaitama University Wandervogel Club5 Saitama University Wandervogel Club